📝補足解説:「健康保険はどこまで使えるの?」
日本の公的医療保険制度では、医療機関で診察や治療を受けたときに、医療費の一部だけを自己負担するしくみが整えられています。
ただし、この制度が適用されるのは「医療行為」に限られており、すべての支払いに使えるわけではありません。
🏥 健康保険が適用される範囲
保険が適用されるのは、診察・検査・手術・投薬などの医療行為、または処方箋に基づく調剤薬局での薬代などです。これらは「保険診療」と呼ばれ、自己負担は原則1〜3割となります。
一方で、医療行為とは直接関係のない支出――たとえば、病院の売店で購入する飲食物や日用品、差額ベッド代、アメニティ代、美容整形や人間ドックなどの自由診療――には保険は使えず、全額自己負担になります。
💊 ドラッグストアでの購入品と控除制度
医療機関以外の場所、たとえばドラッグストアやスーパーなどで購入した医薬品についても、健康保険の適用はありません。ただし、対象となる市販薬を一定額以上購入した場合には、「セルフメディケーション税制」という制度を利用して、確定申告で所得控除を受けることができます。
これは、医療機関に頼りすぎず、自分で健康管理を行う取り組みを後押しするために導入された仕組みです。
📘 医療経営士としての視点
医療保険制度の適用範囲を正しく理解することは、医療機関に勤務する立場として重要です。患者や家族からの質問に対して、わかりやすく制度の内容を伝えられることが求められます。
特に、保険診療と自由診療のちがい、また医療費に関する税制上の支援制度などについても、基本的な理解を持っておくと実務や試験対策に役立ちます。
💬 まとめ
健康保険はあくまで「医療行為」に対する支援制度です。 日用品や食料品、自由診療などには適用されず、購入する場所や目的によって支払い方法は異なります。
制度の対象と対象外をしっかり区別しておくことで、制度全体の理解が深まります。