📝補足解説:「DPCとは? “定額パック”の医療費制度」
DPC(診断群分類包括評価)とは、入院医療の費用をあらかじめ決められた定額で支払う「パック料金」のような制度です。
従来の出来高払い方式では、診察・検査・処置などを1つずつ積み上げて合計額を算出していましたが、DPC方式では、病名や治療の内容に応じて一定額がまとめて支払われます。
🏥 DPCの基本的な仕組み
DPC制度では、患者の病名、手術の有無、重症度などの情報をもとに「診断群分類コード(DPCコード)」が割り当てられます。そして、そのコードに対応する定額の医療費が、一定のルールに従って支払われます。
この制度の対象となるのは、主に急性期の入院医療を担う大学病院や大規模な地域中核病院などです。
このように、「どのような患者に、どのような治療を提供したか」によって、支払額が決まる点が特徴です。
📈 制度の目的と背景
DPCが導入された背景には、従来の出来高払い制度における課題がありました。
たとえば、治療期間が長くなればなるほど医療機関の収入が増えるという構造や、医療の効率性や透明性が見えにくいという問題が指摘されていました。
こうした課題を解決し、効率的で質の高い医療を提供するための仕組みとしてDPCが整備されました。また、医療の内容を数値化して管理しやすくすることで、診療の質の向上や経営の見える化にもつながっています。
📘 医療経営士としての視点
DPC制度は、医療経営にも大きな影響を与える仕組みです。入院日数を短縮する努力や、質の高い医療の提供を評価する加算制度など、医療機関の戦略にも直結します。
また、DPCコードは14桁で構成されており、診断・処置・手術の組み合わせを反映しています。コード体系や分類の意味を理解しておくことは、経営分析やマネジメントにも役立ちます。
📝 試験対策のポイント
・出来高払いとの違いを明確に説明できること ・DPCが経営にもたらす影響(収益構造、在院日数短縮など) ・診断群分類(DPCコード)とその構成の理解 ・DPC導入による医療の見える化と管理手法
💡 まとめ
DPC制度は、入院医療費を「定額で支払う」という包括評価方式です。従来の出来高払いに比べ、効率性・公平性・質の向上を目指した制度として設計されています。
診療の実態を把握し、経営戦略に生かすうえでも、医療経営士にとって必ず押さえておくべき重要な項目です。