🩺補足解説:「医療の質」ってどう測る?── 経営視点で押さえておきたい基本
医療機関の経営を考えるうえで、「医療の質」は欠かせないキーワードです。
医療経営士としては、質の定義を覚えるだけでなく、「どのように測定し、どのように改善するか」を理解することが求められます。
🔍 医療の質を考える6つの視点
医療の質を評価する際には、アメリカの医学研究所(IOM)が提唱した6つの視点がよく用いられています。この考え方は日本の厚生労働省の評価指標にも取り入れられています。
- 安全性:患者に危害を与えないこと
- 有効性:科学的根拠に基づく適切な治療が行われていること
- 患者中心性:患者の希望や価値観を尊重した医療が提供されていること
- タイムリー性:必要な医療が遅れることなく提供されていること
- 効率性:限られた医療資源が無駄なく使われていること
- 公平性:すべての人に等しく高い質の医療が提供されていること
📏 医療の質はどう評価する?
医療の質を評価する際には、「ドナベディアン・モデル」と呼ばれる3つの観点が基本となります。
・構造(Structure):医療体制の整備状況(人員、設備、ICTの導入など)
・過程(Process):医療行為が適切かどうか(ガイドラインに沿った診療、標準手順の順守など)
・結果(Outcome):治療後の成果(在院日数、再入院率、患者満足度など)
この3つの視点を組み合わせて、医療機関全体の質を多角的に評価します。
📈 医療の質は経営にどう関係するのか
医療の質を高めることは、患者にとっての安心だけでなく、経営上のメリットにもつながります。
たとえば、患者満足度が向上すればリピーターや紹介が増え、収益に貢献します。医療安全が確保されていれば、トラブルや訴訟リスクを抑えられます。
また、適切な診療記録と請求が行われていれば、診療報酬も正しく受け取ることができ、経営の安定につながります。
反対に、質が低いと患者の信頼を失い、職員の離職や経営悪化の原因にもなりかねません。
📚 試験対策としてのポイント
・医療の質に関する6つの視点(安全性、有効性、患者中心性など)を正確に覚えること
・構造・過程・結果の分類を、具体例とセットで理解すること
・KPI(重要業績評価指標)との関係や活用例も整理しておくこと
・医療の質を高めることが、医療経営の改善にも直結するという視点を持つこと
💡 まとめ
「どこで医療を受けても同じ」という時代から、「どのような質の医療が提供されているか」を意識する時代へと変化しています。
医療経営士としては、「医療の質をどう測り、どう支えるか」という視点を持つことが、これからの医療経営において重要な役割となります。