医療経営士試験の勉強は順調ですか?
今回は…
医療経営士3級試験対策!
医療機関の職員に関する法規
についてまとめていきます。
労働契約
医療機関と医師・看護師などの職員は労働契約を結んでいます。
労働契約とは使用者が労働者を使用して労働を行ってもらい、その労働に対して賃金を支払うという契約です。
医療機関が使用者、職員が労働者となり双方の間で労働契約がなされています。
労働条件
労働条件とは賃金や労働時間、休日休暇などを指しますが、労働条件は労働者と使用者が対等の立場で決定する必要があります。
つまりどちらかが明らかに不利益を被るような一方的な条件は認められません。
そして、使用者は労働者に対して労働条件を明示しなくてはなりません。
書面によって明示されなければならない事項が決められており、その事項は頭に入れておきましょう。
- 労働契約の期間
- 就業場所、従事すべき業務
- 始業・終業時刻
- 所定労働時間を超える労働の有無
- 休憩時間
- 休日
- 休暇
- 労働者を二組に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
- 賃金の決定、計算及び支払の方法
- 賃金の締切り及び支払時期
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
賃金
賃金は原則として通貨で全額を労働者に直接支払わなければなりません。
給与を振込にするためには、書面による個々の労働者の同意が必要です。
そして、振込先は労働者が指定する銀行その他の金融機関となり、使用者側で指定することはできません。
給与を銀行振込にするには他にも、「労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数を代表する者と書面による協定を結ぶこと」や「明細書を交付すること」などの条件があります。
また、賃金の支払いは賞与などを除いて、月1回以上、定期的であり、最低賃金法に定められた最低賃金以上である必要もあります。
使用者の都合で労働者が休業になった場合は、休業させた労働日に対して賃金の6割以上の休業手当を支払うことになっています。
労働時間
労働時間の原則は「週40時間労働」となっています。
これは使用者は労働者に対して、休憩時間を除いて1日8時間、1週40時間を超えて労働させてはならないという規定からきています(労働基準法32条)。
しかし、年中休みなく稼働する病院のような場合には、柔軟に対応できるように変形労働時間制という制度があります。
変形労働時間制は、4週間での労働時間が160時間以内であれば1日8時間以上や週40時間以上であってもよいとする制度です。
ただし労働者と使用者との間で協定が必要です。
休憩時間、休日
労働時間が6時間を超える場合は45分の休憩時間、労働時間が8時間を超える場合は1時間以上の休憩時間が必要です。
休憩時間は自由に過ごすことができます。
また休日は1週間に1回か4週間に4回以上となっています。
時間外賃金
時間外や休日の賃金は割増賃金となりますが規定は以下の通りです。
- 時間外労働:25%以上
- 休日労働:35%以上
- 深夜労働:25%以上(午後10時~午前5時)
有給休暇
労働者は6ヶ月以上継続勤務を行った場合は有給休暇がもらえます。
これは正職員やパートタイマーなどの雇用形態は関係ありません。
初回は10日以上で、その後1年経つごとに1-2日を加えて取得することができます。
就業規則
就業規則とは使用者がすべての労働者に対して一律に労働契約の内容を定めたものです。
労働契約には例外はあるにせよ、大枠の定めがないと個々の労働者間で契約にバラつきが大きくなりかねません。
病院などのように多数の労働者を必要とする場合は、労働者に対して共通のルールが存在することが望ましくなります。
そこで労働基準法では、常時10人以上の労働者を使用している事業所は就業規則を作成して労働基準監督署に届け出ることを定めています。
就業規則に記載される事項には絶対的事項と相対的事項があります。
絶対的事項は以下になります。
絶対的記載事項
- 始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇、交代制の場合は交代期日や順序などの事項
- 賃金の決定、計算や支払の方法、賃金の締切りや支払の時期、昇給に関する事項
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
次に相対的事項です。
相対的記載事項
- 退職手当に関する事項
- 臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項
- 食費、作業用品などの負担に関する事項
- 安全衛生に関する事項
- 職業訓練に関する事項
- 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
- 表彰、制裁に関する事項
- その他全労働者に適用される事項
解雇
解雇とは使用者が一方的に労働者との労働契約を解消することをいいます。
反対に労働者の意思で労働契約を解消するなど、解雇以外でその職を辞めることを退職といいます。
そのため解雇するには正当な理由が必要になります。
そして労働契約時に退職に関する事項として書面で明示されている必要があり、就業規則にも絶対的記載事項として記載されていなければなりません。
解雇の正当な理由としてなりうるものとして、労働者が使用者側の規則に対する重大な違反行為を行った場合や、労働能力の欠如・改善不能、経営改善のための合理的な人員削減などがあげられます。
さらに解雇を行うためには少なくとも30日以上前に予告しなければならないことも条件となっています。
30日前までに予告できない場合は、30日に満たない日数分以上の平均賃金を支払うこととなっていますが、天災などで急に事業継続が不能になった場合や、労働者の犯罪による場合などの解雇では30日前の予告や30日分の賃金支払いを行う必要はありません。
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