医療経営士試験勉強は順調ですか?
今回は…
医療経営士3級試験対策!
病院の仕組み
についてまとめていきます。
病院の組織
突然ですが病院とはどのように成り立っているのでしょうか?
ここでは病院の組織について押さえていきます。
病院を受診したときには医師や看護師に会いますが、他にも検査担当者や薬剤師、受付スタッフまで、様々な職種の方がいますね。
まずは、それぞれの部門について簡単にみていきましょう。
診療部門
呼んで次の如く診療を行う部門のことで、主には医師が所属する部門となります。
一般的には医師はそれぞれの診療科に分かれていて、「〇〇科」というグループを構成しています。
患者の病態・症状によって担当する「〇〇科」が決まり、そこで診療が行われるのですね。
患者によっては複数の科に渡り、その際には各科による連携の元で診療が進んでいきます。
病態によっては科で分かれるのではなく一体となって診療した方が効率がよいこともあり、「〇〇センター」となっている場合もあります。
化学療法を担当する医師は消化器内科医や腫瘍内科医であったりしますが、進行がんの場合は同時に緩和医療も常に考えなくてはなりません。
その際に化学療法担当医が緩和医療も行いますが、病院によっては緩和医療担当医がいる場合もあります。
しかし「〇〇科」で分けると、化学療法担当医(例:消化器内科医)と緩和医療担当医(例:緩和ケア科)は別のグループに属してしまいます。
これを「腫瘍センター」という枠組みで捉えることにより一つのグループで対応することができるようになります。
さらに腫瘍センターとすると、医師のみでなく腫瘍や化学療法、緩和医療などに精通した看護師や薬剤師、栄養士、相談員など多職種をまとめることができ、よりよい治療などを提供することができます。
例えば、化学療法そのものに精通した医師、看護師がいたとして、医師は呼吸器内科医、看護師は泌尿器科病棟に勤めていたとしましょう。
この場合でいくと、医師は呼吸器癌以外、看護師は泌尿器癌以外の患者さんには力を発揮しにくい状態となってしまいます。
そこで腫瘍センター化して、医師・看護師は腫瘍センターに所属することで、効率良く治療ができるようになります。
センターの話はあくまで例えですが、最近は外科と内科が一体となって診療にあたるなど、「〇〇科」という枠をこえた診療部門を設置する施設もでてきています。
医局
医局という言葉は聞いたことがあるかと思いますが、医局とは何でしょうか。
医師は診察や検査・治療の他にも、研究、勉強、学会などの準備、休憩などの活動をしているわけですが、それらの活動を行う場の一つが医局になります。
医局とはざっくりとですが、診療以外で医師が集まる場所、もしくは医師が所属する組織と考えてよいと思います。
例を挙げてみます。
この場合の医局は場所としての使われ方をしています。
大学病院のような大きい病院であれば各科毎に医局が分かれています。
中小病院などでは全科の医師の机が集まっているフロアーがあり、そこを医局としていることもあります。
また、各診療科毎に医師が自分の机を持つ部屋があり、それとは別に全科医師が使用できる休憩場所を医局とすることもあります。
次の例です。
この場合の医局は所属組織を表していますね。
この所属組織の医局は主に大学病院での所属を意味しています。
医局組織というのは教授をトップとして准教授や講師、助教、医局員などのメンバーから構成されていて、大学病院での診療の他に研究や、学生指導、他病院への医師派遣などなどを担っている組織です。
医師が少ない地方病院にとって医師派遣を派遣してくれる医局の存在は大きいです。
しかし、近年は医局に属さない医師が増えてきた結果、地方への医師派遣を引き上げざるをえない場合もあり、地方病院の医師不足につながっています。
看護部門
その名の通り、看護職員が所属する部門です。
看護部門は病院内の人数が最も多い部門で、主に診療の補助や患者の療養上の世話を行っています。
一般的には看護師長をトップとして、病棟部門、外来部門など担当が分かれており、他にも救命救急室、集中治療室、内視鏡室、手術室などに専属となる部門もあります。
また病院の安全管理やスタッフ教育などの業務を行う管理部門もあります。
日本では病床当りの看護職員数も少ないため、医療機関にとって看護職員の確保は重要な課題です。
その他の部門
病院には診療部門、看護部門の他にも様々な部門があります。
簡単にまとめていきます。
薬剤部
主に薬剤師が所属している部門です。
病院の薬剤師は外来・病棟患者の薬の調剤や内服管理・指導、点滴薬や注射薬などの管理も行っています。
検査部
検査といっても放射線を扱うものや血液などの検体を扱うものなど、多岐に渡ります。
放射線検査は診療放射線技師、検体検査は臨床検査技師などが行うことが多いですが、施設によっては微生物を検査する細菌検査部門や、人の組織・細胞を検査する病理検査に従事する病理部門などがある場合もあります。(病理検体の診断は医師が行います)
リハビリテーション部
リハビリテーションに従事する、医師・看護師・理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)などの複数の職種が所属している部門です。
栄養部
主に管理栄養士と栄養士、調理師が所属しています。
100床以上の病院は栄養士を1人以上配置しなくてはならず、特定機能病院や300床以上の病院では管理栄養士を1人以上配置しなければなりません。
栄養部は患者の状態に合わせて食事を調節したり、栄養管理・指導を行ったりします。
病気に合わせた栄養素の管理のみならず、咀嚼をあまり必要としない食事形態にするなどの管理も行っています。
地域医療支援部
治療から介護、入院から在宅などを円滑に進めるために、行政や地域と連携した業務を行っている部門です。
社会福祉士や精神保健福祉士などが所属しています。
相談部
ソーシャルワーカーなど所属し、患者の経済的・社会的・心理的な相談に応じ、解決を支援する業務を行っています。
管理部門
管理部門には様々な課がありますが、ここでは医事課を取り上げます。
医事課は受付から会計、診療録(カルテ)の管理や診療報酬の算定、保険請求などの医療事務を行っています。
その中でもレセプトを作成し保険者に請求することは病院経営にとても重要な業務です。
院内の委員会
院内に設置される委員会の種類は多くあります。
委員会には各診療科や部門のみで行っていた医療を、効率性や安全性を高めるために部門横断的なチーム医療を推進する目的があります。
医療経営士3級試験の勉強としては、診療報酬に関わる委員会があるということと、その名称は押さえておきましょう。
- 医療安全管理委員会
- 診療録管理委員会
- 検査精度管理委員会
- 感染症対策委員会
- 褥瘡対策委員会
- 輸血療法委員会
- 給食委員会
- NST(栄養サポートチーム)など
病院関連施設
介護施設
ここは介護保険ページの施設サービスと重なる内容がありますが、こちらは施設について若干踏み込みます。
まずは介護施設のおさらいです。
- 介護老人福祉施設
- 介護老人保健施設
介護療養型医療施設
⇒ 介護医療院
介護老人福祉施設は特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設は老健とも呼ばれ、介護療養型医療施設は介護医療院になったのでしたね。
介護老人福祉施設
常時介護が必要であり、居宅での実現が困難な要介護者が入所対象となります。
具体的には、原則として要介護度の要介護3以上が必要です。
食事、入浴、排泄などの日常基本動作の介護から、それらの改善に向けた機能訓練、健康管理を行っている施設です。
自立した日常生活が送れるようになることを目指してサービスが行われます。
しかし、実際には改善が難しく終の棲家となる方も少なくありません。
事業主体は原則として地方公共団体や社会福祉法人になります。
介護老人保健施設
病状が安定している要介護者が入所対象となります。
要介護度としては施設サービスの原則に従って要介護1以上で、介護及び機能訓練などを行い、医療並びに日常生活上の世話をしてくれる施設です。
介護老人保健施設は居宅復帰を目標としているため、理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門家がいたり、医師、看護師などの職員面で充実しています。
一方で、3ヶ月までなどと入所期間が限定的であり、終身入所はできません。
事業主体は地方公共団体、医療法人、社会福祉法人などに限られていて、非営利が要件です。
介護老人福祉施設との違いをざっくり表現すると、介護老人福祉施設は「介護>医療」、介護老人保健施設は「医療>介護」というイメージです。
介護療養型医療施設 ⇒ 介護医療院
介護療養型医療施設は簡単にいうと病院や有床診療所の病棟部分の一部が、介護施設として使用されていたものです。
長期間の療養を必要とする慢性疾患や急性期疾患の回復期などの患者に対して医療やリハビリが行われてきました。
しかしながら、医療保険の適応となる医療療養病床と患者背景にあまり差がなかったことなどを背景に、介護療養型医療施設は2018年3月末をもって廃止となりました。(2024年3月末までの移行期間が設けられています)
そして「医療機能」「介護機能」「生活施設」を備えた新しい介護保険施設として介護医療院が設立されました。
介護療養型医療施設の廃止から介護医療院設立までの流れはもっと細かいですが、医療経営士3級試験の勉強としては、介護療養型医療施設が廃止となり介護医療院になるということをまずは押さえておきましょう。
介護医療院は医療経営士3級試験でも出題されたみたいですね。
まとめ記事はこちら。
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保険薬局と医薬分業
保険薬局とは、医療保険における保険指定を受けた薬局のことであり、医師が発行する処方箋を受け付けて調剤を行うことができる薬局です。
医師の処方する薬剤の受け取りは、医師のいる病院でもらう院内処方と、病院外の薬局でもらう院外処方とがあります。
かつて病院は、薬の仕入れ価格とレセプト請求価格差で利益を生むことができた(薬価差益)ため院内処方が多かったのですが、医薬分業が進み現在は院外処方が多くなっています。
医薬分業とは医師と薬剤師がそれぞれ業務を分担することで、より安全で効果的な医療を行うことを目的としていて、院内処方における薬価差益の縮小などにより進められてきました。
院内処方では、医師は使いたくても在庫がない薬は処方できませんし、処方箋がなくても済むため他院で処方された薬もわからないことがあります。
医薬分業により院外処方とすることで、医師は在庫を気にすることなく適切と考える薬の処方箋が出せるようになり、患者も複数の病院からの処方箋をかかりつけ薬局にまとめることで、薬の飲み合わせや重複処方などを調べることができます。
本ページは以上です。