みなさん、こんにちは。
管理人のらいおんです。
管理人は医師ということもあり、MR(medical representative)さんにお会いすることが多々あります。
一方で「医療経営士」を名乗るMRさんにはまだお会いしたことがありません。
そこで今回は、もし自分のところに面談に来たMRさんが「医療経営士」であったらどうなるだろうかということを医師の目線で考えてみました。
途中で若干話がそれますが…
医療経営士って何?という方は下記記事をどうぞ!
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【2024年版】医療経営士とは ~メリット・デメリット~
目次1 医療経営士とは1.1 医療経営士って何?1.2 医療経営士が必要となった背景2 医療経営士になるとどうなる?2.1 メリット2.2 デメリット3 まとめ 医療経営士とは 医療経営士に興味を持っ ...
まず食いつく!
MRさんが医療経営士資格を持っていて、医療経営情報を流暢に医師に提供できたらどうなるか。
先に私の結論ですが、医師はそのMRさんとどんどん話をしたくなってきて、そのMRさんの薬剤情報にも興味を持って聞くようになります。
なぜならば多くの医師は、医療制度や診療報酬などに関心を持っているからです(はずです)。
しかし、ここで大切なことは医療経営士資格を持っていることではなく、医療経営に関するしっかりとした情報を持っていることです。
「医療経営士って何?」という医師の方が多いはずですから、資格の有無ではなく情報の質が命です。
いい情報を持っていた上で「実は医療経営士です。」となると、医師側も「医療経営士、やるね!」となります。
さて、医師は臨床・研究などで日々時間を追われており、経営については自らなかなか勉強することができません。
自分が経営者や管理者であれば勉強せざるをえないですが、一人の勤務医であれば、医療経営を一生懸命勉強している医師はあまりいないと考えます。
自分が直接関わらない経営よりも、患者さんに影響のある臨床能力を鍛えたりと医業に仕事の時間を使うのは当然です。
それでも、ちょくちょく病院や上司から経営に関わることを耳にすることがあります。
例えば、上司からは「もっと入院患者を増やして」とか「入院期間を短くして」とか「検査数が落ちてきたら意識しよう」とか「退院サマリーは〇〇日以内に書いて」などでしょうか。
私も様々な病院でいろいろなことを言われました。
医療制度や診療報酬など自分の診療に関わることは知っておいた方がいいだろうとは思うものの、時間も余ってないですし、知りたくても何をどう勉強したらいいのかよくわからず、ましてや診療報酬点数表などに目を通す気も沸きません。
私は今は個人的に勉強していますが、他人が有益な情報を教えてくれるとなると、これほど時間対効果がよいものはありませんね。
ということで、MRさんが自分の診療に関わる医療制度や診療報酬についての有益な情報を教えてくれるのであれば、医師はまず間違いなくその話に食いつきます。
特に経営に携わる立場であれば尚更です。
例えば、「〇〇の制度が変わるので、今後は〇〇するのがいいみたいですね」とか囁かれると、そうしようかなと気になりますね。
そして、そのような情報を教えてくれるMRさんには、また会ってもいいかなとなります。
それが重なっていくと、「会ってもいいかな」から「また話を聞かせてくれ!」となっていきます。
薬剤情報だけでは飽きてきた!?
さて、MRさんが医療経営の話をできると医師が食いつくだろうということは前述の通りですが、MRさん側からすると本来の目的は自社製品を扱ってもらい、使用してもらうことです。
MRさんは自社の薬剤のいいところを宣伝し医師に使用してほしいわけですが、一方で医師は多くの製薬会社から「うちの薬はここがいいですよ」という話を聞くことになります。
私は毎月10-15人くらいのMRさんとお会いする機会があり、直接お話しをしています。(現在は新型コロナウイルスの影響もあり対面は数人/月になっています)
皆さん一生懸命にお話しをしてくれて私にとっても有益な時間なのですが、薬剤の新しい情報や論文・データなどは頻繁に更新されるものでもないですし、同効薬が多い薬もあって、「この前も似たような話を聞いたな~」などと思うことも少なくはありません。
正直、マンネリ化してしまうことがあります。
そうなると、会いに来たMRさんの人柄そのものが好き!とかでもなければ、新鮮な薬剤情報がない場合、その薬剤への印象が薄くなってしまうことがあります。
実はそう単純ではありません。
自分が面談をしない間、他社のMRさんが熱心に面談をしていたとしたらどうなるでしょうか。
医師も仮に薬剤情報が新鮮でなかったとしても、熱心なMRさんに心を許していくかもしれませんね。
医師も人間ですから、薬剤を選択するにあたって薬剤自体に差がないと感じたとすると、MRさんとの距離感で処方することがあってもおかしくはありません。
それではどうしたらいいのでしょう?
2つの心理法則を用いて考えてみます。
ザイオンス効果と返応性の法則を利用する
1つ目はザイオンス効果です。
ザイオンス効果とは「同じ人や物に接する回数が増えるほど、その対象に対して好印象を持つようになる」というものです。
つまり、自社商品を扱ってほしいMRさん側からすると、医療機関・医師への訪問回数を多くせよ!ということになりますね。
とはいえ、頻回に来るたびに新鮮な情報もなく世間話であったとしたらどうでしょうか。
すでに親しい間柄なのであればともかく、そうでもなければうざったいと思われるだけかもしれません。
そこで2つ目の返応性の法則を考えます。
返応性の法則とは、人は何か与えられると無意識のうちに「その人に対して返さないといけない」と恩義を感じるようになるというものです。
つまり、医療機関や医師に何かをしてほしかったら、MRさん側から何かを与えまくれ!ということですね。
昔は製薬会社の接待がとても楽しかったと先輩医師から聞いたものですが、これは返応性の法則に従い効果的です。
時代の流れで、与えまくる接待は今は厳しいわけですが、それでは何を与えまくれるでしょうか。
医療経営情報を提供しまくる
与えることのできる薬剤情報が溢れていればよいですが、そうもいかないときはどうするか。
そうです。ここで、医療経営士資格を活かした医療経営情報の出番です。
医師も詳しくはないであろう、でも必要としそうな診療に関する医療制度や診療報酬などの医療経営情報を提供しまくるのですね。
薬剤情報がいまいちでも、医療経営情報などで医師の興味を少しでも引くことができれば、ザイオンス効果を期待した一定回数の訪問が可能になり、訪問時に提供した経営情報については返応性の法則が働きます。
その積み重ねで医師が心を開きやすくなり、期待する処方にも繋がりやすくなるはずです。
医師の目線として私を例に挙げてみます。
私は実際には医療経営情報を与えられまくったことはないのですが、診療報酬や薬価の変化などの話が出ると食いつきますし、私自身が勉強していることもあって、そのMRさんにも興味を持ちますね。
その時の情報が、「確かこんな感じでしたよ」という曖昧なものではなく、「〇〇なので、〇〇ですよ」というように自信を持っているものであれば、より良いでしょう。
もちろん私に当てはまることが全てに医師に当てはまるわけはありませんが、私に当てはまるということは、他にも当てはまる医師がいる可能性は十分ありますよね。
結論とまとめ
最初にお話しした通り、MRさんが実臨床に関わる医療経営の話ができれば医師は興味を持つでしょう。
だだし、大切なことは医療経営に関するしっかりとした話ができることであり、「医療経営士資格を持っています!」ということだけであれば「ふ~ん、それで?」となって終了です。
資格を持っていることで何を提供できるのかがポイントです。
医師目線でいくと、医療経営士の持つMRさんが来た場合、それで何を提供してくれるのか、そして頼りにしてもよいのかなどに興味を持ちます。
医療制度や診療報酬の話などで医師の心を惹き付け、信頼を掴みとって下さい!