※当記事は2018年の診療報酬改定についての記事で情報は古いですが、診療報酬本体と薬価等の内容の理解のために残してあります。
みなさん、こんにちは。
医療経営士試験の勉強は順調に進んでいますか?
2018年は診療報酬と介護報酬のダブル報酬改定がありましたね!
改定の内容は医療経営士試験でも問われる重要なポイントと予想されるので、ぜひとも整理しておきたいところです。
「診療報酬改定? それなに?」
「改定あったのは知ってるけど重要なの?」
「どこが重要なのかわからんっ!」
という方に向けて、ここでは2018年度の診療報酬の改定について、まずは概要編としてポイントを簡単にまとめます。
だから、このページでは簡単な概要だけ解説しますね。
これだけは知っておこう
簡単に概要のみといっても診療報酬改定の範囲は広く、実はまとめるのも容易ではありません…
そのため、まず始めに知っておいた方がよいと考えられるポイントを列挙してみました!
- 診療報酬全体はマイナス1.19%
- 診療報酬本体はプラス0.55%
- 地域包括ケアシステムの構築が重点課題
- 入院料が基本部分と実績部分の二段階評価になった
診療報酬全体はマイナス改定
さて、2018年度の診療報酬改定は、全体ではマイナス1.19%でしたが、本体部分はプラス0.55%でした。
改定率を前回と比較すると、前回は本体プラス0.49%であったため、前回を上回る結果となっています。
診療報酬は「本体」と「薬価等」で構成されており、二つを合わせて「全体」となります。
診療報酬本体とは技術料のことで、医師や看護師など医療従事者の人件費や医療機関の経費などに当たり、医療行為に伴う対価と考えられます。
それに対して薬価等は、診療の結果使用された薬剤費や医療材料費などに当たります。
昨今は医療費の上昇が問題となっていますね。
診療報酬全体が上がるということは医療費が増えることにつながるため、診療報酬全体は大きなプラスにはなりにくいです。
そういった背景もあり、今回は全体でマイナス1.19%(国費ベースで1360億円)となったのですね。
診療報酬はどんどん減らそう!
診療報酬本体はプラス改定
診療報酬が減ることは医療費全体が抑制される方向に働きはしますが、医療機関側からすると入ってくる収入が減ることにつながります。
医療機関の収入が減り続ければ、患者に十分な医療を提供できなくなるかもしれませんし、医療従事者の給与も減らさなければいけなくなります。
さらには閉院となってしまう可能性もあるでしょう。
医療機関側からすると同じ仕事をしているのに収入が減らされてはたまりません。
国は医療費を減らしたい、一方で医療機関側は減らされて困るという現状があります。
では、診療報酬を本体と薬価等に分けて考えてみます。
診療報酬本体は医療機関の人件費や経費にあたるものでしたね。
薬価等は薬剤費などでした。
薬価とは薬剤の値段と考えてよいですが、薬剤は発売から時間が経つとともに安くなっていきます。
そのため、医療機関側のことを考慮して診療報酬本体はプラス改定にする一方で、薬価等はマイナス改定にするということができるのですね。
そこで今回の2018年診療報酬改定では診療報酬本体はプラス0.55%(国費ベースで558億円)のプラス改定としつつ、薬価等はマイナス1.74%とすることで診療報酬全体としてはマイナス改定となりました。
診療報酬本体はプラス改定になったということを覚えておきましょう。
改定に当たっての基本認識
それに合わせて改定にはきちんと目的があるのよ。
では、今回の改訂の主旨と概要をおさえていきましょう。
厚生労働省が公表している[PDF]平成30年度診療報酬改定の基本方針には基本認識として下記の3つを挙げています。
- 人生100年時代を見据えた社会の実現
- どこに住んでいても適切な医療・介護を安心して受けられる社会の実現(地域包括ケアシステムの構築)
- 制度の安定性・持続可能性の確保と医療・介護現場の新たな働き方の推進
簡単にまとめると、これからも高齢化は進むので高齢者も元気に安心して過ごせる社会、地域にしよう!
尚且つ少子化も進むことから何かと財源が厳しくなるが、国民皆保険などの制度をしっかり保っていこう!
というような感じでしょうか。
今後の日本の人口動態をみてみると、2025年には団塊の世代が75歳以上となり、2040年には団塊ジュニア世代が65歳以上となる高齢化社会が進んでいきます。
一方で、高齢者は2040年頃をピークに減少していくと考えられており、2040以降の人口減少も見据えた長期的な基盤作りが必要とされています。
このような高齢化を含めた人口動態を背景として、今回の診療報酬改定では地域包括ケアシステムの構築が重点課題とされています。
地域包括ケアシステムに関して厚生労働省は以下のように公表しています。
地域包括ケアシステムの構築
地域の実情に応じて、可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、地域包括ケアシステムを構築し、今後の医療ニーズや技術革新を踏まえた、国民一人一人の状態に応じた安心・安全で質が高く効果的・効率的な医療を受けられるようにすることが重要である。
引用:厚生労働省 [PDF]平成30年度診療報酬改定の基本方針
ということね。
改定の基本的視点
さて、このような基本認識を踏まえて改定の方向性をみてみます。
基本方針として4つ挙げられています。
- 地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進 【重点課題】
- 新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実
- 医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進
- 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上
繰り返しになりますが、地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進は重点課題と記されており、そのために適正な医療提供体制作りを行っていくことが明確化しました。
医療機関としてもその方向性で努力すると、きちんと評価される流れになっていくと考えられます。
重点課題の内容
それでは具体的な内容をみていきましょう。
今回の改訂で重点課題とされている地域包括ケアシステムの構築ですが、その構築についての具体例は以下のようになっています。
具体例
- 地域包括ケアシステム構築のための取組の強化
- かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価
- 医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価
- 外来医療の機能分化、重症化予防の取組の推進
- 質の高い在宅医療・訪問看護の確保
- 国民の希望に応じた看取りの推進
簡単にまとめると、入院医療と在宅医療を含めた退院後までの一連の流れを円滑に効率的に進めて、かかりつけ医による外来医療の機能も推進しよう、という感じでしょうか。
そして入退院・外来の質を高めることには、きちんと評価するという方針が打ち出されています。
入院医療については、医療の必要性が低い患者に多くの医療資源を投入して非効率医療となることや、医療の必要性が高いにも関わらずあまり医療資源が投入されない診療(粗診粗療)となることが起こりえます。
やむをえない場合はありますが、医療機関は個々の患者の状態に応じて適切に医療資源を投入し、より効果的・効率的に質の高い入院医療を提供するよう努力すべきですね。
しかし、全てを医療機関に任せるだけでは限界があります。
そこで、入院医療を①急性期入院、②リハビリテーションや退院支援、③長期療養の3つに整理する診療報酬体系が整えられました。
出典:厚生労働省資料
例えば、急性期入院は急性期一般入院基本料、リハビリテーション入院は回復期リハビリ病棟入院料、長期療養入院は療養病棟入院基本料などで、それぞれの機能に応じた診療報酬の改定がなされました。
改定前からの変化として、看護配置などによる「基本的な評価部分」と、病棟ではどんな患者がどうなったのかという「診療実績の評価部分」との二段階で病棟の評価を行うことになっています。
二段階評価で各病棟の役割が明確化したことで、病棟の効果的・効率的な機能強化や病棟間の連携、患者の円滑な在宅復帰の促進などが期待されています。
◇
◇
◇
本ページはここまでです。
改定ポイントは多岐にわたり、全てを頭に入れるのは困難でしょう。
しかし、医療経営士試験で問われるポイントはある程度絞られてくると思います。
急性期入院、DPC/PDPS、地域包括ケア病棟、介護報酬改定のポイントなどは別記事作成を予定していますが、いつ完成するかは未定です…。
問題集ではポイントをまとめた問題を作成していますので、ぜひチェックしてみてください。