みなさん、こんにちは。
さて今回は
医療経営士3級試験対策
医療法の条文について(前編)です。
試験対策として条文を覚えてしまえれば鬼に金棒ですが、なかなか覚えらえるものではありません。
しかもたくさんあるので、ほぼ無理でしょう。
しかしながら、ここであえて条文自体を載せておいて一度は目を通しておくことで、ポイントの記憶整理に役立つかもと考えました。
今回は医療法の前編です。
ちなみに後半は医療法人関連のものになる予定です。
条文内容は、当サイトの医療法関連などのページに記載している内容と重なる部分もありますが、条文自体は記載していないので、こちらのページでも取り上げることとしました。
それでは医療法、条文シリーズ前半のスタートです。
目次
第一条
⇒医療法は病院、診療所、助産所などの医療機関についてのルールを定めるよということですね。
第一条の五
⇒「病院」とは20床以上の病床数だと明示しています。
第一条の五の2
⇒「診療所」とは無床もしくは病床数19床以下だと明示しています。
第二条の二
⇒助産所での入所は9人以下を明示。正常出産は病気ではないので、「病床」という言葉は使用しませんでした。
第四条の三
一 特定臨床研究(厚生労働省令で定める基準に従つて行う臨床研究をいう。以下同じ。)に関する計画を立案し、及び実施する能力を有すること。
二 他の病院又は診療所と共同して特定臨床研究を実施する場合にあつては、特定臨床研究の実施の主導的な役割を果たす能力を有すること。
三 他の病院又は診療所に対し、特定臨床研究の実施に関する相談に応じ、必要な情報の提供、助言その他の援助を行う能力を有すること。
四 特定臨床研究に関する研修を行う能力を有すること。
五 その診療科名中に厚生労働省令で定める診療科名を有すること。
六 厚生労働省令で定める数以上の患者を入院させるための施設を有すること。
七 その有する人員が第二十二条の三の規定に基づく厚生労働省令で定める要件に適合するものであること。
八 第二十一条第一項第二号から第八号まで及び第十号から第十二号まで並びに第二十二条の三第二号、第五号及び第六号に規定する施設を有すること。
九 その施設の構造設備が第二十一条第一項及び第二十二条の三の規定に基づく厚生労働省令並びに同項の規定に基づく都道府県の条例で定める要件に適合するものであること。
十 前各号に掲げるもののほか、特定臨床研究の実施に関する厚生労働省令で定める要件に適合するものであること。
2 厚生労働大臣は、前項の承認をするに当たつては、あらかじめ、社会保障審議会の意見を聴かなければならない。
3 臨床研究中核病院でないものは、これに臨床研究中核病院又はこれに紛らわしい名称を称してはならない。
⇒臨床研究中核病院についてですね。病床数は400床以上と覚えておきましょう。
医療法条文には地域医療支援病院や特定機能病院についての記載もありますが、それらの病院については医療法関連である程度取り上げたので、こちらでは扱いません。
臨床研究中核病院とは「日本発の革新的医薬品・医療機器の開発などに必要となる質の高い臨床研究や治験を推進するため、国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的な役割を担う病院」とされています。
簡単にすると、「質の高い臨床研究や治験を行う中心の病院」ということですね。
要件は400床以上の病床の他、多岐にわたっており、現時点では国立がん研究センター中央病院や大学病院など、12の病院が承認されています。
第六条の三
2 病院等の管理者は、前項の規定により報告した事項について変更が生じたときは、厚生労働省令で定めるところにより、速やかに、当該病院等の所在地の都道府県知事に報告するとともに、同項に規定する書面の記載を変更しなければならない。
3 病院等の管理者は、第一項の規定による書面の閲覧に代えて、厚生労働省令で定めるところにより、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて厚生労働省令で定めるものにより提供することができる。
4 都道府県知事は、第一項又は第二項の規定による報告の内容を確認するために必要があると認めるときは、市町村その他の官公署に対し、当該都道府県の区域内に所在する病院等に関し必要な情報の提供を求めることができる。
5 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項及び第二項の規定により報告された事項を公表しなければならない。
6 都道府県知事は、病院等の管理者が第一項若しくは第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたときは、期間を定めて、当該病院等の開設者に対し、当該管理者をしてその報告を行わせ、又はその報告の内容を是正させることを命ずることができる
⇒全ての病院、診療所、助産所は一定の情報を都道府県知事に報告しなければいけないとうことですね。
そして都道府県はその情報を集約してホームページなどで公表します。
第六条の四
一 患者の氏名、生年月日及び性別
二 当該患者の診療を主として担当する医師又は歯科医師の氏名
三 入院の原因となつた傷病名及び主要な症状
四 入院中に行われる検査、手術、投薬その他の治療(入院中の看護及び栄養管理を含む。)に関する計画
五 その他厚生労働省令で定める事項
⇒この条文によって、いわゆる入院計画書が必要になっているのですね。
第六条の五
一 医師又は歯科医師である旨
二 診療科名
三 病院又は診療所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項並びに病院又は診療所の管理者の氏名
四 診療日若しくは診療時間又は予約による診療の実施の有無
五 法令の規定に基づき一定の医療を担うものとして指定を受けた病院若しくは診療所又は医師若しくは歯科医師である場合には、その旨
六 入院設備の有無、第七条第二項に規定する病床の種別ごとの数、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の従業者の員数その他の当該病院又は診療所における施設、設備又は従業者に関する事項
七 当該病院又は診療所において診療に従事する医療従事者の氏名、年齢、性別、役職、略歴その他の当該医療従事者に関する事項であつて医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるもの
八 患者又はその家族からの医療に関する相談に応ずるための措置、医療の安全を確保するための措置、個人情報の適正な取扱いを確保するための措置その他の当該病院又は診療所の管理又は運営に関する事項
九 紹介をすることができる他の病院若しくは診療所又はその他の保健医療サービス若しくは福祉サービスを提供する者の名称、これらの者と当該病院又は診療所との間における施設、設備又は器具の共同利用の状況その他の当該病院又は診療所と保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との連携に関する事項
十 診療録その他の診療に関する諸記録に係る情報の提供、前条第三項に規定する書面の交付その他の当該病院又は診療所における医療に関する情報の提供に関する事項
十一 当該病院又は診療所において提供される医療の内容に関する事項(検査、手術その他の治療の方法については、医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるものに限る。)
十二 当該病院又は診療所における患者の平均的な入院日数、平均的な外来患者又は入院患者の数その他の医療の提供の結果に関する事項であつて医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるもの
十三 その他前各号に掲げる事項に準ずるものとして厚生労働大臣が定める事項
2 厚生労働大臣は、医療に関する専門的科学的知見に基づいて前項第七号及び第十一号から第十三号までに掲げる事項の案並びに第四項に規定する基準の案を作成するため、診療に関する学識経験者の団体の意見を聴かなければならない。
3 第一項各号に掲げる事項を広告する場合においても、その内容が虚偽にわたつてはならない。
4 第一項各号に掲げる事項を広告する場合には、その内容及び方法が、医療に関する適切な選択に関し必要な基準として厚生労働省令で定めるものに適合するものでなければならない。
⇒いわゆる広告規制についてですね。規制対象が幅広くなっているため、広告可能事項を明記するポジティブリスト方式になっています。
細かくいうと広告可能事項も「~に関する事項」となっている項目もあり、それらは包括規定方式となります。
が、「~方式」は医療経営士級試験では出題されません。
第六条の九
⇒国や都道府県が医療の安全確保のための措置をしなければならないと規定。
第六条の一〇
2 病院等の管理者は、前項の規定による報告をするに当たつては、あらかじめ、医療事故に係る死亡した者の遺族又は医療事故に係る死産した胎児の父母その他厚生労働省令で定める者(以下この章において単に「遺族」という。)に対し、厚生労働省令で定める事項を説明しなければならない。ただし、遺族がないとき、又は遺族の所在が不明であるときは、この限りでない。
⇒医療事故が起きたら、すぐに医療事故調査・支援センターに報告すること。その前に遺族に説明すること。
第六条の一一
2 病院等の管理者は、医学医術に関する学術団体その他の厚生労働大臣が定める団体(法人でない団体にあつては、代表者又は管理人の定めのあるものに限る。次項及び第六条の二十二において「医療事故調査等支援団体」という。)に対し、医療事故調査を行うために必要な支援を求めるものとする。
3 医療事故調査等支援団体は、前項の規定により支援を求められたときは、医療事故調査に必要な支援を行うものとする。
4 病院等の管理者は、医療事故調査を終了したときは、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、その結果を第六条の十五第一項の医療事故調査・支援センターに報告しなければならない。
5 病院等の管理者は、前項の規定による報告をするに当たつては、あらかじめ、遺族に対し、厚生労働省令で定める事項を説明しなければならない。ただし、遺族がないとき、又は遺族の所在が不明であるときは、この限りでない。
⇒医療事故が起きたら、医療事故調査・支援センターに報告するだけでなく、医療事故調査もやってねということ。
第六条の一二
⇒管理者の責務として病院等の安全管理を規定しています。感染対策や医薬品・医療機器の安全管理体制の措置も必要です。
第六条の一三
一 患者又はその家族からの当該都道府県等の区域内に所在する病院等における医療に関する苦情に対応し、又は相談に応ずるとともに、当該患者若しくはその家族又は当該病院等の管理者に対し、必要に応じ、助言を行うこと。
二 当該都道府県等の区域内に所在する病院等の開設者若しくは管理者若しくは従業者又は患者若しくはその家族若しくは住民に対し、医療の安全の確保に関し必要な情報の提供を行うこと。
三 当該都道府県等の区域内に所在する病院、診療所又は助産所の管理者又は従業者に対し、医療の安全に関する研修を実施すること。
四 前三号に掲げるもののほか、当該都道府県等の区域内における医療の安全の確保のために必要な支援を行うこと。
2 都道府県等は、前項の規定により医療安全支援センターを設けたときは、その名称及び所在地を公示しなければならない。
3 都道府県等は、一般社団法人、一般財団法人その他の厚生労働省令で定める者に対し、医療安全支援センターにおける業務を委託することができる。
4 医療安全支援センターの業務に従事する職員(前項の規定により委託を受けた者(その者が法人である場合にあつては、その役員)及びその職員を含む。)又はその職にあつた者は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
⇒都道府県等は医療安全支援センターを設置するようにしてね。ということですね。努力義務になっている記載ですが、すでに全国どこでもあるようですね。
第七条 3
⇒病床数は都道府県の医療計画で定められているため、病床数、種別変更時などには都道府県知事の許可が必要だということですね。
第七条 2では病院についても同様に病床数、種別変更時には都道府県知事の許可が必要だと記載されています。
第七条 6
⇒病院は利潤追及主義にならないでねという文言ですね。
第一〇条
⇒医療機関の管理者は医師・歯科医師であるということです。つまり一般的に院長は医師・歯科医師ということですね。ちなみに副院長の規定はありません。
第一四条の二
一 管理者の氏名
二 診療に従事する医師又は歯科医師の氏名
三 医師又は歯科医師の診療日及び診療時間
四 前三号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
⇒院内掲示義務についてです。
第一五条の二
⇒8つの外部委託業務には基準が定められていると勉強しましたが、基準が必要だということがここで述べられています。
外部委託業務の委託率が高いものは覚えておきましょう。
医療経営士試験で頻出です。
第一六条
⇒病院は宿直医(当直医)が必要なのでしたね。すぐに来院できる位置なら院外でもいいよとなっています。
有床診療所では当直医の規定はなかったのでしたね。
第一六条の四
一 特定臨床研究に関する計画を立案し、及び実施すること。
二 他の病院又は診療所と共同して特定臨床研究を実施する場合にあつては、特定臨床研究の実施の主導的な役割を果たすこと。
三 他の病院又は診療所に対し、特定臨床研究の実施に関する相談に応じ、必要な情報の提供、助言その他の援助を行うこと。
四 特定臨床研究に関する研修を行うこと。
五 第二十二条の三第三号及び第四号に掲げる諸記録を体系的に管理すること。
六 その他厚生労働省令で定める事項
⇒臨床研究中核病院の役割ですね。「特定臨床研究」ときたら臨床研究中核病院という対応の記憶でいいかと。
第二一条
一 当該病院の有する病床の種別に応じ、厚生労働省令で定める員数の医師及び歯科医師のほか、都道府県の条例で定める員数の看護師その他の従業者
二 各科専門の診察室
三 手術室
四 処置室
五 臨床検査施設
六 エックス線装置
七 調剤所
八 給食施設
九 診療に関する諸記録
十 診療科名中に産婦人科又は産科を有する病院にあつては、分べん室及び新生児の入浴施設
十一 療養病床を有する病院にあつては、機能訓練室
十二 その他都道府県の条例で定める施設
⇒病院の施設基準ですね。できれば覚えておきたいところです。
第二二条の三
一 厚生労働省令で定める員数の臨床研究に携わる医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の従業者
二 集中治療室
三 診療及び臨床研究に関する諸記録
四 病院の管理及び運営に関する諸記録
五 第二十二条第四号から第八号までに掲げる施設
六 その他厚生労働省令で定める施設
⇒臨床研究中核病院の施設基準ですね。
第三〇条の四
2 医療計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 都道府県において達成すべき第四号及び第五号の事業並びに居宅等における医療の確保の目標に関する事項
二 第四号及び第五号の事業並びに居宅等における医療の確保に係る医療連携体制(医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携を確保するための体制をいう。以下同じ。)に関する事項
三 医療連携体制における医療提供施設の機能に関する情報の提供の推進に関する事項
四 生活習慣病その他の国民の健康の保持を図るために特に広範かつ継続的な医療の提供が必要と認められる疾病として厚生労働省令で定めるものの治療又は予防に係る事業に関する事項
五 次に掲げる医療の確保に必要な事業(以下「救急医療等確保事業」という。)に関する事項(ハに掲げる医療については、その確保が必要な場合に限る。)
イ 救急医療
ロ 災害時における医療
ハ へき地の医療
ニ 周産期医療
ホ 小児医療(小児救急医療を含む。)
ヘ イからホまでに掲げるもののほか、都道府県知事が当該都道府県における疾病の発生の状況等に照らして特に必要と認める医療
六 居宅等における医療の確保に関する事項
七 地域における病床の機能の分化及び連携を推進するための基準として厚生労働省令で定める基準に従い定める区域(以下「構想区域」という。)における次に掲げる事項を含む将来の医療提供体制に関する構想(以下「地域医療構想」という。)に関する事項
イ 構想区域における厚生労働省令で定めるところにより算定された第三十条の十三第一項に規定する病床の機能区分ごとの将来の病床数の必要量(以下単に「将来の病床数の必要量」という。)
ロ イに掲げるもののほか、構想区域における病床の機能の分化及び連携の推進のために必要なものとして厚生労働省令で定める事項
八 地域医療構想の達成に向けた病床の機能の分化及び連携の推進に関する事項
九 病床の機能に関する情報の提供の推進に関する事項
十 医療従事者の確保に関する事項
十一 医療の安全の確保に関する事項
十二 主として病院の病床(次号に規定する病床並びに精神病床、感染症病床及び結核病床を除く。)及び診療所の病床の整備を図るべき地域的単位として区分する区域の設定に関する事項
十三 二以上の前号に規定する区域を併せた区域であつて、主として厚生労働省令で定める特殊な医療を提供する病院の療養病床又は一般病床であつて当該医療に係るものの整備を図るべき地域的単位としての区域の設定に関する事項
十四 療養病床及び一般病床に係る基準病床数、精神病床に係る基準病床数、感染症病床に係る基準病床数並びに結核病床に係る基準病床数に関する事項
⇒医療計画についてですね。5事業についても記載されています。医療計画、5事業・5疾病は必ず押さえておきましょう。
といっても条文を覚える必要はありませんが。
まとめ
医療法の条文についてざっと掲載してみました。
条文を見る機会はなかなかないので、「ふ~ん」という感じにはなったのではないでしょうか。
条文自体が医療経営士試験で出題されることはないですが、条文に目を通しつつ、医療法関連の情報を見直すと頭に入りやすいかもしれません。
医療法は医療経営士試験で確実に出題されてくる範囲ですから、しっかり勉強して他の受験者と差がつかないように、むしろ差をつけることができるようにしておきましょう。