こんにちは、管理人のらいおんです。
医療経営士3級試験の勉強は順調ですか?
今回は…
医療経営士3級試験対策!
患者と医療サービスについて
まとめていきます。
昔は医療者側が患者に対して優位な立場であることが当たり前でしたが、昨今はそうではなくなってきました。
患者側は病院を選ぶことができる立場であり、病院は選ばれなければ集患できません。
そして集患できないと病院は潰れてしまいますね。
医療機関のサービスは患者に「気に入ってもらう」ことが目的ではありません。
しかし、患者に自院を選択してもらうためにも患者に対するサービスは決して無視できない要素となっています。
ということから、ここでは医療機関における医療サービス、患者サービスについて勉強していきましょう。
医療経営士3級試験では問題数も多くは出ないと予想しますが、覚える内容もそんなに難しくない印象ですので、ざっと読んで頭に入れておけば対策になるのではと思います。
目次
医療機関のサービス
それってサービス業というのかな?
でもサービス業の特性もあるのよ。
さて、医療サービスを考えたときに、そもそも医療は「サービス業」なのかという疑問がでてきます。
医療がサービス業なのか否かという点については様々な意見があるかと思いますが、ここでは医療経営士テキストを参考に「医療のサービス業の一面」をみてきます。
サービス業とは
医療が「サービス業がどうか」ということ自体は医療経営士3級試験において大切ではないのですが、話の流れとしてもまずは「サービス業とは何か」を押さえておきましょう。
サービス業の特性としては4つだったり、5つだったり参考元によって異なるようですが、ここでは医療経営士初級テキスト第7巻に記載の5つを挙げます。
医療経営士初級テキスト第7巻ではサービス業の5つの特性について「非有形性(無形性)、不均質性、不可分性、消滅性、同時性」を挙げています。
- 非有形性(無形性)
- 不均質性
- 不可分性
- 消滅性
- 同時性
テキスト外では他にも需要変動性などもサービスの特性として考えられています。
非有形性(無形性)
「サービスには形がない」ということです。
そのため、購入前に物として確認することができません。
患者は診断・治療を受けるために病院を受診しますが、どんな検査・治療を受けるのかはたいていの場合は受診前にはわかりません。
また治療後の状態もわかりませんね。
不均質性
サービスを提供する「人や場所、時間などで品質が異なる」ということです。
同じ医師の診察でも、午前の元気なときと夕方の疲れがたまった状況では診断力が変化するかもしれませんし、体調によっても能力は変化するでしょう。
また施設が変われば医療機器やスタッフも変わり、医師の対応能力も変化するかもしれません。
さらに同じ病院に行っても診察医が変われば、診療内容が変わることもありますね。
不可分性
「生産と消費は切り離すことができない」ということです。
つまりサービスを提供する側と受ける側が同時にいなければならないということです。
病院でいけば医師は患者がいなければ診断や治療はできませんし、患者も医師がいなければ診断や治療を受けることができません。
消滅性
「在庫にすることができない」ということです。
在庫にできる商品であれば、1日で売り切れなかった物を翌日に売ることができますね。
しかし医療では、ある1日の患者数が少なくて医療提供側に余裕があっても、翌日にその余力を加えた仕事ができるわけではありません。
具体的に外来患者数で考えてみましょう。
1日に対応できる外来患者の限度が100人の医療機関に、ある日は外来患者が50人だったとします。
そうするとまだ50人分の対応力が余ります。
この50人分の余力は商品でいけば在庫になるわけです。
では50人分の余力を使って翌日は150人分の診療が可能でしょうか?
それは難しいですね。
診療行為は在庫ができないのです。
同時性
「生産と消費が同時に発生する」ということです。
個人的には不可分性と似ている部分がある印象を受けます。
診療行為は始まったところから消費されており、診療行為が終わった後は同じことを再現することはできません。
ついでに「需要変動性」とは、需要量は季節、月、週、さらには一日の時間帯で異なるということです。
冬にインフルエンザが流行し患者が増える、外出を控えたくなる大雨のときなどは患者数が減るなどですね。
医療サービスの分類
医療はサービス業の特性を満たしている面がありますが、「医療はサービス業ではない」と考える方もいるでしょう。
医療は患者の健康のために行う非営利活動であるためですね。
極端な話、「医師やスタッフの態度・対応が悪いが早く病気が治る病院」と、「医師やスタッフの態度・対応は良いがなかなか病気が治らない病院」では患者はどちらを受診するかというと、当然「治る病院」を受診します。
これを突き詰めていくと、医療は接遇などは問題ではなく「医療行為とその結果」が全てだという考え方にもつながります。
しかし、医療にはサービス業の特性があることも事実です。
現在、日本では患者が病院を選べるため、「医師やスタッフの態度・対応が悪いが早く病気が治る病院」よりも「医師やスタッフの態度・対応が良く早く病気が治る病院」が求められているわけですね。
結果として、「医療の質」を担保しながら「患者の満足するサービス」を提供することが重要になっていることは確かでしょう。
この医療の特殊性を一般のサービス業と比較しながらみていきます。
医療を、医療行為そのものの「医療サービス」と、医療行為とは別に行われる「患者サービス」とに分けて考えてみます。
医療サービス
医療サービスは診察や治療などの診療行為そのものを意味しており、提供者は医師や看護師などの医療資格保有者になります。
一般的なサービスと異なる特徴は以下のようにまとめることができます。
- 質の評価を患者が正しく行うことが難しい
- 医療者と患者の共同作業で成立する
- 結果の不確実性と多様性による不均質性がある
医療サービスの質の評価は非専門家である患者には困難です。
患者としては「病状が治る」というのが一つの評価指標になるわけですが、治ったとしても「検査が必要だったかどうか」、「抗菌薬などある種の薬は必要だったどうか」などの診療行為の評価は難しいでしょう。
また病状の回復には時間がかかることが多いので、診療後すぐに質の評価を行うことも難しいですね。
次に「医療者と患者の共同作業で成立する」とはどういうことでしょうか。
患者が医療に求めるものを「病状の回復」や「健康維持」などとすると、医療提供者側だけでは医療サービスの質を高めることが難しい場合も多々あります。
例えば医師が病状に対して質問をしても患者が真実を隠したり(性感染症など)、医師が検査を強く勧めても患者が拒否したりすると正確な診断にたどり着けないでしょう。
また医師が気管支喘息の患者さんへの禁煙、アルコール性肝障害の患者さんへの禁酒が必要であることを伝えても患者がそれを一切受け入れなかったら十分満足のいく治療効果は得られません。
医療サービスは提供する側の作業だけでは上手くいかず、患者との共同作業が大切になります。
最後に「結果の不確実性と多様性による不均質性」を考えます。
例えば、同じ病状の人が複数人いたとして医師が同じ治療を行ったとしても、全ての人が同じ経過をたどるわけではありません。
すぐに良くなる人もいれば、なかなか改善しない人もでてきます。
薬を使ってみたら副作用が出てしまい持続できなくなる人もいますが、それを投与前に知ることは困難です。
このように医療サービスは不確実性と不均質性を含んでいます。
患者サービス
では次に患者サービスを考えます。
患者サービスとは医療サービス以外の患者に対するサービスです。
具体的には、看護師をはじめとしたスタッフの丁寧な声かけや、院内の案内や相談窓口の機能、待合室やトイレなどの設備、売店やレストランなどの施設を介するものなどがあります。
患者サービスは医療サービスと異なり医療資格保有者以外でも提供可能です。
医療サービスと比較すると、患者サービスの質の評価は患者が行うことができますし、また評価にも時間を要しません。
医療サービスと患者サービスの関係
さて、医療サービスと患者サービスの特徴を押さえたところで、二つのサービスの関係性をみていきましょう。
医療サービスも患者サービスも患者の病院に対する評価につながるのですが対等でしょうか?
患者が何を求めて病院を受診するかというと、それは「医療サービス」になります。
そのため医療サービスの結果がよければ、つまりは患者が困って来院したことが解決したのであれば、「スタッフの態度の悪さ」や「設備への不満」などの「患者サービス」が悪くても患者の満足度は高まる傾向にあります。
その反面、医療サービスの結果が悪ければいくら患者サービスがよくても患者は満足しません。
つまり、医療サービスは患者サービス以上に重要であり、患者サービスは医療サービスに附帯するものと考えることができます。
また医療サービスの中でも医師との面談内容が患者満足度を最も左右するといわれています。
医療の質がいくら高くても、疾患によっては「すぐには良くならない」ものもありますし、検査結果や診断に「時間がかかるもの」もあります。
医療サービスの結果が出るまでに「時間がかかる」場合に患者さんは医療機関の評価をどのように行うでしょうか。
もちろん「医師の診察が気に入らない」、「検査もしてくれない」などの医療サービスの質に対する不満があれば、再来はしないでしょう。
一方で医療サービスについては可もなく不可もなくであった場合は、患者サービスで評価する患者が多いですね。
例えば、「受付の態度が悪い」「待ち時間が長すぎる」「設備が整っていない」などでしょうか。
そこに不満が高ければ、次は違う病院を受診する可能性は高くなります。
医療サービスの評価がすぐにできないケースがある以上は、患者サービスも十分行う必要があります。
医療機関の注意点
以上の点をふまえたときに医療機関が注意して対応にあたるポイントがあります。
医療機関の注意点
- 医療サービスと患者サービスとでは評価に要する時間が異なる
- 何も言わないのは満足しているからではない
医療サービスと患者サービスの評価には時間差ができることは前述した通りです。
患者サービスは初診時の窓口対応の時から評価が始まっていることを医療機関側が理解し、全職員で対応する必要があるという点が重要です。
またもう一つの注意点として、患者の見た目と内心は異なっていることがあることを理解する必要があります。
「文句を言っていなければ不満はないだろう」とはいえないということですね。
医療サービスと患者サービスのまとめ
- 患者サービスは医療サービスの結果を代償するものではない
- 患者満足度には医師の面談が最も影響を及ぼす
- もの言わぬ患者は満足しているわけではない
- 医療サービスが満足できないときは患者サービスが医療機関の評価を左右することがある
- 医療機関は医療サービスと患者サービスの両方を充実させることが大切である
医療サービスの変化
さて、今まで説明してきた医療サービス、患者サービスという考え方は昔からあったのでしょうか?
昔は医師の言うことが全てという雰囲気が少なからずあったようですが、現在はもちろん異なっていますね。
ここでは医療機関をとりまくサービス上の変化に歴史を振り返ってみます。
1999年:患者取り違え事故
横浜市立大学病院で肺の手術患者と心臓の手術患者を取り違えてしまい、誤った手術が行われたという事故がありました。
この事故は「病院に任せっきりではいけない」ということを示したと考えられています。
2001年:患者の呼称に「様」付けが推奨
厚生労働省が「国立病院・療養所における医療サービス向上の指針」を発表し、その中で「患者の呼称の際、原則として、姓名に"様"を付けること」を推奨しました。
「様」を付けるのは丁寧な対応をすることの心がけというスタンスであったようです。
しかし、医療提供側・患者側ともに違和感を覚える人が少なくないため、現在は「さん」付けの医療機関も多くなっています。
2004-2006年:「医療消費者」概念の誕生
2004年に一般的な消費活動に関する消費者を守るために消費者基本法が制定されています。
例えば、悪質な販売に対するクーリングオフ制度の適用などですね。
この消費者を守る原則が医療にも適応され、医療消費者という概念が生まれました。
具体的には2006年に医療費明細書発行が義務化されたことなどが挙げられます。
一方で、立場が強くなったと勘違いする患者が出てきて、筋論クレーマーとなる問題出てきました。
筋論クレーマー
「それはおかしいんじゃないの?」という視点から、疑問や質問、抗議などを言ってくる人々。
特徴
1. 筋の通った問題提起や疑問を突きつけてくる
2. 組織や社会の弱みを心得ている
3. 納得できないと「トップ」「監督官庁」「マスコミ」にタレこむ
4. 年齢的には40代から60代が多く、プライドが高い
5. 最悪の場合、訴訟も辞さない
6. 最初の対応での「誠意の欠如」が発端になりやすい
2007年~:医療界の2007年問題
2007年問題とは、団塊の世代が退職することで日本の社会や経済構造が変化していくことを指しています。
団塊の世代は一般的に、個々が価値観を確立していて「自分ができることは自分で行う」という意識が強い傾向があるとされています。
医療界においては「医師にお任せします」という患者は減少し、「自分の判断・選択をもち、違うと感じることには意見を述べる」というタイプが増加することが考えられます。
医療機関はこういったタイプにも柔軟に対応できるように取り組んでいく必要があります。
医療機関のサービスの実践
医療機関のサービスといっても多種多様です。
ここでは医療経営士初級テキストを参考に、コミュニケーション能力を高めるためのコーチング、サービスとしての未収金対策、待ち時間対策について簡単にまとめます。
個人的には医療経営士3級試験では出題されたとしても難しい内容にはならない気がするので、内容は濃くしていません。
試験対策としては、さらさらっと読んでおけばよいのではないでしょうか。
コーチング
コーチングという言葉は聞いたことがあるかもしれませんね。
コーチングとは「対話を通じてコーチングを受ける人が自分で気づき、行動を起こすことを促す技法」の一つです。
「coach」とは元々「四輪馬車」の意味ですが、「人を目的地に運ぶ」ということから長距離バスや客車を指すようにもなり、さらには「人を目標達成に導く人」という意味にも派生したようです。
コーチングを大別すると、メンタルコーチングとスキルコーチングに分けられます。
メンタルコーチングは感情面を大切にし、コーチングを受ける人の情報を整理することなどで、本人の気付きを促して問題解決法を見つけ出したりする手法で、特定の専門的知識がなくてもコーチングは可能とされています。
スキルコーチングは、コーチングする側がその分野の専門知識とスキルを持ち、それを基本として個人のスキル向上を促す手法です。
スキルコーチングには特定の専門知識・スキルが必要ですが、メンタルコーチングと比較して効果が期待しやすいとされています。
コーチングの技術
一般的なコーチングの技術としては、傾聴のスキル、承認のスキル、質問のスキルの3つが挙げられます。
これらについて極簡単にまとめます。
- 耳で聞く
- 口で訊く
- 心で聴く
相手の声がただ聞こえている状態の「耳で聞く」から始まり、相手の気持ちを察した傾聴につながる「心で聴く」が最終段階となります。
- YOUメッセージ
- Iメッセージ
- WEメッセージ
YOUメッセージは「あなたは〇〇ですね」という、メッセージの主体が「あなた」である伝え方です。
評価のニュアンスが強くなるときがあるので注意が必要です。
Iメッセージは「私は〇〇と感じました」という、メッセージの主体「私」であるが伝え方です。
相手は受け取りやすく、充実感や達成感を感じやすいです。
WEメッセージは「院長も喜んでいた」「当院の名誉だ」という、メッセージの主体が「組織」である伝え方です。
Iメッセージ以上に充実感や達成感を感じやすいです。
- オープンドクエスチョン
- クローズドクエスチョン
- 拡大質問
- 特定質問
- 肯定質問
- 否定質問
各スキルの特徴をまとめると以下になります。
オープンドクエスチョン | 相手が自由に答えられる |
クローズドクエスチョン | 答えが二者択一 |
拡大質問 | すぐ返事ができない、回答が複数 |
特定質問 | 正解は1つ、誰でも同じ答え |
肯定質問 | 問いに「ない」という否定形の言葉を含まない |
否定質問 | 問いに「ない」という否定形の言葉を含む |
具体的な質問を挙げてみます。
オープンドクエスチョン | 「~はどうですか?」、「なぜ~ですか?」 |
クローズドクエスチョン | 「~は好きですか?」、「~は初めてですか?」 |
拡大質問 | 「将来は何をしたいですか?」、「一番大事なことは何ですか?」 |
特定質問 | 「どこで生まれましたか?」、「今日は何日ですか?」 |
肯定質問 | 「どうしたらうまくいきますか?」 |
否定質問 | 「どうしてうまくいかないでしょうか?」 |
質問のスキルを用いるポイントとして、「答えやすいものとそうでないものがあること」、「自分のための質問と相手のための質問があること」、「質問の前提に観察力があること」の3つが挙げられます。
未収金対策
さて話はガラッと変わりますが、ここでは医療機関に発生する未収金対策について覚えていきましょう。
[PDF]令和3年度医療施設経営安定化推進事業によると、未収金の平均は1,027,000円(令和3年10月単月)、1,199,000円(令和3年11月単月)となっています。
そして、対応する実患者数の平均はそれぞれ52人(令和3年10月単月)、59人(令和3年11月単月)となっています。
病院は原則としては対価の支払いができない患者の診療を行わなければなりません。
それは医師法第19条の応召義務で「診療に従事する医師は、診療治療の求めがあった場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではならない」と定められているからです。
医療機関にとって対価の支払いがなされないことは診療を拒む正当な理由にならないのか?ということについては、1949年に当時の厚生省からの通知があります。
その通知では「患者の貧困や医療費の不払いがあっても、直ちにこれを理由として診療を拒むことができない」とされているのですね。
※応召義務については2019年12月に厚生労働省から[PDF]応招義務をはじめとした診察治療の求めに対する適切な対応の在り方等についてが通知されていて医療費の支払いと応召義務について説明されています。後述します。
従って、一般のサービス業では大きな問題になりにくい未収金というものが、医療においては大きな問題になります。
そんな未収金の発生を防ぐために、以下のような対策が挙げられています。
未収金対策
- 保険証の確認
- 連帯保証人の入院時誓約書の自筆署名・提出
- 医療費の事前公表・説明
- 診療報酬対象の書類などの即日交付
- クレジットカードやデビットカードによる支払い導入
- 相談窓口の設置、制度説明
- 未収金マニュアルの利用
昨今は訪日外国人による医療費未払いも問題になってきています。
未収金は発生してしまうと回収には労力を要します。
いかに発生させないかが大切になります。
一方で、悪意のある医療費未払い患者については診療拒否を行うことができるように厚生労働省より通知がなされました。
[PDF]応招義務をはじめとした診察治療の求めに対する適切な対応の在り方等についての中で以下の記載がなされています。
医療費不払い
以前に医療費の不払いがあったとしても、そのことのみをもって診療しないことは正当化されない。
しかし、支払能力があるにもかかわらず悪意を持ってあえて支払わない場合等には、診療しないことが正当化される。
具体的には、保険未加入等医療費の支払い能力が不確定であることのみをもって診療しないことは正当化されないが、医学的な治療を要さない自由診療において支払い能力を有さない患者を診療しないこと等は正当化される。また、特段の理由なく保険診療において自己負担分の未払いが重なっている場合には、悪意のある未払いであることが推定される場合もある。
これにより明らかに対価の支払いをする意思がないと考えられる患者の診療は行わなくても正当化されることになりました。
しかしながら初診時には患者の支払い意思について確認はできないので、初診時には支払いをする意思がない患者も診療せざるを得ないことにはなります。
待ち時間対策
さて、患者満足度に関わる患者サービスとして待ち時間があります。
出典:厚生労働省 [PDF]令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況
待ち時間に対する外来患者の不満は徐々に減少しているものの、約25%は不満を持っていることがわかります。
そして待ち時間に対する不満率はその他の項目に比べて高いです。
そのため、外来の待ち時間対策は患者満足度を高めるために重要なポイントになります。
待ち時間対策は主に3つに分けることができます。
- 待ち時間そのものを短縮する対策
- 待ち時間を快適にする対策
- 医療機関の特徴に合わせた対策
待ち時間そのものを短縮する対策としては、人員配置や業務の見直しなどによる「業務改善」や、電子カルテ導入などによる「情報の管理法の改善」、予約システムなどによる「患者の流れの管理」などが挙げられます。
待ち時間を快適にするためには、「順番の連絡」や「待合室の改善」、「好きな場所で待ってもらう」などの方法があります。
医療機関毎の対策というのは、大きな病院と診療所では医療や患者の流れが異なるので、それに合わせた工夫が必要だということです。
例えば大きな病院では、高度化した検査や治療などそれぞれの部門で待ち時間の短縮のための改善を検討することになりますし、電子カルテを導入するといっても費用が高額になるため、効果を見極める必要もありますね。
一方の診療所では安定した患者の中に重症な初診が紛れ込むなど多種多様な患者を診る必要があります。
施設によっては超高齢者から小児まで診ているかもしれませんが、小児は成人よりも待つことが難しいですから、待ち時間を快適に過ごしてもらうにも工夫が必要です。
こういったそれぞれの施設の特徴を考えて、より効率的な改善策を考えていく必要があります。
ちなみに入院患者における項目別の満足度は次のようになっています。
出典:厚生労働省 [PDF]令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況
入院患者では食事の内容が最も不満が高い項目であることを押さえておきましょう。
医療サービス提供職種
本ページの最後は医療サービスを実践するに際して、こんな職種もあるよというものをご紹介いたします。
職種名とだいたいの職務内容を押さえるとよいでしょう。
医療コーディネーター
コーディネーター(coordinator)とは、ものごとを調整する役の人を意味します。
医療コーディネーターをざっくり説明すると「医療者と患者の間で治療法などのずれが生じた場合に、中立の立場から患者のサポートを行う」職種です。
例えば、患者が「今の治療を受け続けて大丈夫なのだろうか」と現在の治療に不安を感じた場合などに相談に乗ってサポートします。
医療コンシェルジュ
コンシェルジュ(concierge)はフランス語で「集合住宅の管理人」という意味を持っています。
現在では顧客のあらゆる要望に対応する「総合世話係」というような職務を担う人の職種名として使われるようになっています。
医療コンシェルジの業務の一例としては、「診察の受付や検査予約の手配」、「病院サービスの利用方法や院内施設の案内」、「診察当日の付き添い」、「診察・検査内容の説明」、「紹介元の病院との情報連携」などがあります。
医療メディエーター
メディエーター(mediator)とは「仲裁人、調停者、調停役」を意味します。
医療メディエーターは医療事故が発生した場合や医療者と患者で意見の食い違いが起きたときなどに、双方の話によく耳を傾け、様々な手段で問題を解決に導いていく役割を持っています。
医療コミュニケーター
コミュニケーター(communicator)は「メッセージの伝達者」を意味しており、通訳など意思疎通を図る人を指すことが多い言葉です。
医療コミュニケーターは利用者および家族の依頼により契約を交わし、「本人の身体状況・生活環境の把握」、「通院や受付、医師とのコミュニケーションのサポート、「帰宅後の療養生活・介護に必要な情報の伝達等」を行う職種です。
終わりに
本ページは以上です。
それなりのボリュームになってしまいました。
個人的には医療経営士3級試験対策としてはそんなに細かいところを出題してこないのではと考えています。
がしかし、余裕があれば厚生労働省の『[PDF]令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況』の図くらいをざーっと見ておくとよいかもしれません。)
図を見ておくことで「へ~、外来患者の満足度はどの規模の病院でも50%は超えているんだな~。」などと患者満足度の雰囲気を知っておくといいかもしれませんね。
それでは今回はこの辺で。
お疲れ様でした!